長崎大学院 口腔病態薬理学分野

研究内容

エンドソーム・リソソームの機能と病態

我々の細胞の中には『エンドソーム』と『リソソーム』と呼ばれる細胞内小器官があります。 このエンドソームとリソソームに異常が起こるとタンパク質・脂質などが蓄積するため、様々な疾患を引き起こします。 これらの異常は、歯科領域に関係する疾患とも無縁ではありません。例えば、リソソームのタンパク質を分解する酵素が欠損すると歯周病や骨硬化症などが起こる事が分かっています。さらに、癌の発症、脳神経系異常、糖尿病などの生活習慣病になりやすい事も明らかにされつつあります。

エンドソーム・リソソームの機能と病態

(1)エンドソーム・リソソーム分解系とカテプシン群の機能

エンドソーム・リソソームには20種類以上のタンパク質分解酵素が存在します。これらはカテプシン群と呼ばれ、細胞特異的な分布を示し、様々な生理機能を持つことが分かっています。私達はカテプシンE欠損マウスを作製し、その生理機能を明らかにしています。

エンドソーム・リソソーム分解系とカテプシン群の機能

(2)破骨細胞のリソソーム形成機構

骨は絶えず生成と分解を繰り返ししている動的な組織です。骨を分解する破骨細胞は、リソソームを細胞外に形成してプロトンポンプによる酸(H+)とタンパク質分解酵素であるカテプシン群を分泌します。我々は、これまでに破骨細胞におけるリソソーム形成機構や破骨細胞抑制物質などを明らかにしています。

破骨細胞のリソソーム形成機構

(3)歯周病原性細菌のリソソーム分解と全身疾患との関連

我々は、歯周病原性細菌であるPorphyromonas gingivalisが分泌する病原性因子ジンジパインを同定することに成功しました。この細菌は口腔内から血流に乗って、心血管系などの臓器へと運ばれ細胞内へ入り込みます。これが、様々な全身疾患を引き起こす原因となります。同菌は宿主細胞のリソソーム分解系によって分解されますが、その詳細なメカニズムを解析しています。

歯周病原性細菌のリソソーム分解と全身疾患との関連