1. 器 具 |
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切開排膿で使用する器具は以下の様になります。 |
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ドレーンは基本的に上記のものでしたらなんでも良いですが、しっかりと排膿路を確保でき、更に洗浄しやすい形態のものが良いです。 メスは11番メス(尖刃)を用いるのが良いです。 |
2. 切開法 |
まず、原因歯の同定と膿瘍腔の存在を確認します。特に波動を触れるか否かを確実に把握する必要があります。波動を触れないで切開を加えると症状が増悪する場合がありますので注意してください。基本的に波動が触れなければ抗菌剤を投与し俗に言う"熟れさせる"まで待ちます。 メスは"ペングリップ"で握ります。この方が刃先のコントロールがしやすいからです。 |
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切開は骨膜下膿瘍ならしっかりと骨膜までメスを入れて切開します。感じとしては「メスの刃先が骨に当たる」様にして切開を入れます。歯肉膿瘍の場合は粘膜のみを切開してください。刃の方向は骨膜下膿瘍なら刃先を下にして骨にしっかりと当ててメスを引きながら切開を、歯肉膿瘍なら刃先を上に向けメスの刃先で膿瘍を弾くようにして切開します。 切開線ですが、大体膿瘍全体をしっかりと切開します。中途半端な幅で切開を入れると粘膜が治癒して排膿路がふさがります。上顎の場合は膿瘍腔の頂上よりやや下側で下に凸な弧状切開を、下顎の場合は膿瘍腔頂上よりやや上側で上に凸の弧状切開を加えます。 |
3. 剥 離 |
骨膜膿瘍切開後は剥離子で膿瘍腔全体の骨膜を剥離してください。このときに原因歯の周囲に骨欠損があるかを触知すると良いです。剥離は剥離子でも止血鉗子でも良いですが、剥離子だけで十分に剥離できます。 剥離した後は十分に洗浄します。このときに無理に膿瘍腔周囲の粘膜を"搾り出す"様に押さないでください。無理に押すと残った膿瘍が周囲の健全な組織まで波及します。 洗浄は「もう十分」と思うまで多量の洗浄液で行ってください。 |
4. ドレーン留置 |
最後にドレーンを留置します。材質はなんでも良いですが、中空タイプのペンローズやネラトンの場合、口腔に出る部分は不快にならない程度に切り詰めておきます。大体2cm位の長さで良いです。ポイントは剥離で原因歯の骨欠損部を確認した所にドレーンの先が来るようにしてください。 縫合は絹糸で十分です。ただし、ドレーン剤が脱落しないようにしっかりと粘膜と共に縫合してください。特にガーゼドレーンやラバーダムドレーンの場合、うっかり脱落すると飲み込んでしまうことがありますので注意してください。ドレーン留置後は再度洗浄を行ってドレーンからしっかりと洗浄液が出てくるのを確認してください。 |