医療従事者の方へ

口腔外科手術の基本的手技:インプラント埋入
最初に
 約40年前にスウェーデンのブローネマルク教授Osseo integrationの概念を歯科インプラントに応用してから、インプラントは予知性の高 い欠損補綴のオプションとして発展してきました。その間、いろんなタイプのインプラントがメーカーから販売されていますが、それぞれのインプラントに合った適切な埋入を行わないとよりよい治療はできません。ここではインプラントのタイプごとの解説はメーカーのマニュアルにゆだねるとして、埋入手術に際して是非ともマスターすべきかんどころについて解説します。


ドリリング操作は腕全体を使って
 長年窩洞形成を行っていらっしゃる先生方はコントラヘッドを持つと、どうしてもレストをつけます。ことインプラント埋入に関してはレトはNGです。レストを中心に円を描きますのでドリリングが近心or遠心に傾斜してしまいます。
インプラント埋入①
 ドリリングの際は肘を支点にして腕全体を動かすようにドリルを直線的に動かします。どんな注水システムでもポンピング動作は確実に行い、ドリルに十分に冷却水が行き渡るようにします。形成スピードは骨の硬さによって調整します。
インプラント埋入②
★ドリルを抜いた時にドリルのスレッドに付着した骨片の量が多いと、骨は硬いと推し量ることができます。→Lekholm&Zarbの骨分類のtype 1~2に相当します。


左手を使えるようになりましょう

 理想的と言える術者の埋入ポジションについて解説します。
 ○前歯部:患者の12時に立ち、右手でコントラ、左手でコントラと患者の顎骨に添えるように把持
 ○右側後方:患者の12時に立ち、右手でコントラ、左手でコントラと患者の下顎骨に添えるように把持
 ○左側後方:患者の12時に立ち、左手でコントラ、右手でコントラと患者の下顎骨を把持。利き手である右手でコントラをコントロールする。
 ○残存歯の状態など、場合によっては、上顎右側は患者の9時、上顎左側は患者の3時の位置に立って形成した方が方向を確認しやすい場合もあります。左手でドリリングするにはトレーニングが必要ですが、慣れると非常に有用で、レスト癖がついている右手よりあるいはきれいに形成できることもありますので是非マスターしたい手技です。



メモリのカウントは声を出して確実に

 ドリリングの深さを示すメモリはシステムによって様々ですが、共通して言えることは、術者、アシスタントともに方向を2者で確認しながら声に出して深さ(ドリルの目盛り)をカウントしていくことが重要です。

 術者:『頬舌的方向OK』
 アシスタント:『近遠心的方向OKです』
 2者:『1本目、2本目、3本目で13ミリ、はい終わりです。』

 確認は常に声を出しながら、が重要でこれはフィクスチャーをパッケージから出すときも同様です。外回りアシスタントに指示を出したら、一緒に『3.75ミリ、レギュラー、長さ13ミリ』と2人で声に出して確認します。

インプラント埋入③
 以上がかんどころ(のほんの一部)です。次回以降は骨質に応じたアダプテーションテクニックや覚えておきたい簡単な骨移植をuploadする予定です。
 当院ではインプラントコンサルトから術前診査、埋入、最終補綴までをトータルに扱ったインプラントセミナー(ベーシック、アドバンス)を開催しておりますので、もっと知りになりたい先生は詳細はHPにてご覧ください。